本から本へつながる書評ブログ『淡青色のゴールド』

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「 #名刺代わりの小説10選 」というタグを知っていますか?

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「 #名刺代わりの小説10選 」というタグを知っていますか?

こんにちは。書評ブログ「淡青色のゴールド」へようこそ。本記事では「「 #名刺代わりの小説10選 」というタグを知っていますか?」と題して、Twitterを中心にSNSの読書好き界隈で愛されているハッシュタグについてご紹介します。

 

名刺代わりの小説10選とは

SNSには特定の趣味について投稿し合う趣味アカウント(趣味垢)を楽しむ世界がありますが、「 #名刺代わりの小説10選 」とは主にTwitterの読書アカウント界隈で愛されているハッシュタグの一つです。

自分の愛する作品を紹介し合うハッシュタグで、派生して「 #名刺代わりの映画10選 」「 #名刺代わりの漫画10選 」など多様な10選があり、それぞれの文脈で楽しまれています。

このハッシュタグの絶妙なのは「名刺代わりの」という文言です。これが単純に「 #好きな小説10選 」だったとしたらこれだけ使われることはなかったでしょう。もちろん名刺代わりの小説として何を選ぶかは自由なので、自分の最も好きな小説を単純に10冊選ぶということでも問題ありませんし、実際そういう人も少なくないと思います。

それでも「名刺」と言われるからにはその選んだ10冊は「自分はこういう人間である」という自己紹介というか自己アピールの要素が強まります。結果的に好きな小説を選ぶのだとしても、「 #名刺代わりの小説10選 」というタグとともにツイートすれば「自分はこういう小説が好きな人間なんです」と自分のことを発信しているような文脈が含まれる感じがしますよね。だから選ぶのに非常に迷いますし、他の人が選んだ10選を見るのも楽しいのです。実際暇があればこのタグを検索して眺めてしまいますし、まったく飽きません。

一作家一作品でさまざまな作家と作品を選ぶ方、
夏目漱石縛りなど特定の作家の作品で揃える方、
ちょっとマイナーな洋書ばかりを選ぶ方、

色んな人がいますが、なんとなくその人の趣味や雰囲気が伝わってきて面白いです。(良ければ実際にTwitterで検索してみてください)

まだ私は出会ったことはないですし、出会ったという話も聞きませんが、この10選がすべて重複している人がいたらどんな気持ちになるのでしょうね。

ちなみに、膨大な数のツイートがされているこのハッシュタグの投稿を集計して、どんな作品が名刺作品として選ばれる傾向にあるのか、恐ろしい程の手間をかけて集計してくださっているのが読書ブロガーひろたつさん。このランキングもなかなか興味深いので良ければお読みください。

www.orehero.net

私の名刺代わりの小説10選

ここからは私の「 #私の名刺代わりの小説10選 」を紹介したいと思います。以下は私がこのタグをつけて実際にツイートしたものです。私のアカウントもそうですが、読書垢を名乗っている方は#私の名刺代わりの小説10選タグ付きのツイートを固定投稿にしている方も多く、読書垢同士はこのタグでお互いのことをなんとなく知ってからフォロー関係に入るということも少なくありません。

 

Twitterの方では文字数の関係で選んだ理由や好きなポイントなどを書くことができませんので、こちらで少しですが語らせていただきます。全10冊を選ぶ中で私がなんとなくでも伝わったら良いなと考えたのは「ジャンル幅広く楽しんでいる」というイメージです。小説に限らずかなり幅広く読むのですが、小説だけとっても純文学もライトノベルも、海外作品も、色々読むのでそういう雰囲気を全体として表現したいなということを考えながら選びました。…という感じで、一冊一冊に込めた想いの他に10冊のリストからにじみ出るものもあるというのがこのハッシュタグの面白くも悩ましいところナノではないかと思います。

『竜馬がゆく』司馬遼太郎

言わずとしれた司馬遼太郎の超有名作品ですね。そもそも司馬遼太郎が好きで他にも大好きな作品が多いのですが、名刺代わりと言われるとやはりこちらの作品。初めて通して読んだのは高校入学前だったのですが、この作品に描かれる竜馬の、自分で見聞きして考え、社会の中で自分なりになすべきと考えたことに突き進んでいく姿や、数々の大きな出来事に直面しながらもユーモアとシニカルさでははない余裕を持った姿は、大げさではなく自分自身の職業選択の指針になってきました。

『虚空遍歴』山本周五郎

山本周五郎の長編作品。優れた歴史小説、時代小説を多く残した周五郎の作品には「仕事」について考えさせるものが少なくありません。作品によっていろいろなメッセージがあるのですが、本作品の強力なメッセージは「人生の価値は何を為したかではなく、何を為そうとしたかだ」というもの。武士の身分を捨て、世間から評判を受けた端唄も捨て、浄瑠璃によって自分の価値を追求することのみに突き進んでいく主人公冲也の鬼気迫る生き方にはピンと姿勢を正される思いがします。

書評も書いておりますので良ければお読みください(私が初めて書いた書評です)

 

daisuket-book.hatenablog.com

 

『人間失格』太宰治

『人間失格』を「名刺代わり」に入れたりするとどんな風に思われるんだろう、とかそんないい年になっても自意識が過剰気味な感じもありますが、それでもやはり入れざるを得なかった作品。まさに自意識が巨大に膨らみすぎて苦しかった中学時代に読んで「あぁこういうこと考えるの自分だけではなかったのか」と救われたような気分になった作品でした。ちなみに本作は「 #私の名刺代わりの小説10選 」の集計ランキングでも毎回上位に入る作品。太宰のすごいところは「太宰は俺のことを書いている」「俺が誰より太宰をわかっている」と多くの人に思わせるところだと思います。

『カラマーゾフの兄弟』ドストエフスキー

小説として世界最高峰。ドストエフスキー以上に人間洞察力と描写力を持った作家を私は知りません。学生時代にドストエフスキー作品として初めて『罪と罰』を読んだときは正直あまり理解できず、ロシア人って名前長くてややこしいな!という印象しかなかったのですが、キリスト教や歴史など背景知識も増え読書幅も広がってから読んだこの作品が最高に楽しくて、作品の内容はもちろんのこと、自分の読書レベル自体が上がっていることを感じられて嬉しかったという記念的、記録的な意味合いも含めての選出。

『星を継ぐもの』J・P・ホーガン

SFが好き。中でもSFに入門した初期に読んだ本作品の印象は、SFに限らず人生の中で読んできた小説作品の読書体験の中ででもトップクラスの衝撃的な楽しさでした。徐々に謎が明らかになっていくミステリー的側面もあり、謎自体や謎解きがあくまでも科学的考証も重視しながら丁寧に進んでいくハードSFとしての魅力もあり、そして主人公を始め登場人物たちも魅力的であり、要は最高。本作を一作目としたシリーズ作品全部面白いですが、中でもこの一冊は飛び抜けてます。SF作品を何か読んでみたいならこの一冊をオススメします。

『モモ』ミヒャエル・エンデ

大人が読んでも楽しい児童文学。読書、本好きとしては『はてしない物語』も捨てがたいところなのですが、『はてしない物語』は大人になってから読んだので、個人的な印象としてはやはり小学生で読んだ『モモ』に軍配があがります。時間の大切さがテーマということで忙しく生活する大人にも読んで欲しい作品ですが、そういう教訓めいたことを抜きにしても単純にファンタジーとして魅力的なんですよね、エンデの世界は。

『スレイヤーズ』神坂一

こちらもファンタジーですが、いわゆるライトノベルと呼ばれる作品。私が小学生、中学生時代はまだライトノベルという言葉はなくて「ファンタジー小説」と呼ばれていた気がしますが、色々読んだ中でも私のオタク趣味を深化させたのは間違いなくこの作品。アニメから入って、原作小説や外伝をお小遣いで少しずつ買い進め、何度読み返したことか。例の魔法の詠唱もこれはもう一生忘れないのだろうかというレベルで覚えてしまっています。難しい本も色々読むようになったけど、それでも今でもライトノベルや小説家になろうなどのネット小説まで幅広く楽しめているのはこの作品との出会いがあったからだという意味で人生の中でも大きな影響を持つ作品です。

『精霊の守り人』上橋菜穂子

ファンタジーが続きます。小説にしろ漫画にしろゲームにしろ空想世界での物語が好きというかその世界観について考えるのが好きなのですが、上橋さん作品の世界観の作り込みは本当に感動しました。ファンタジーは良くも悪くも『指輪物語』の影響力が強すぎて西洋風ファンタジーが多いのですが、上橋さんは文化人類学者としてアボリジニ研究を行っていたという経歴も持ち、『指輪物語』に対するような形で東洋、中央アジアをベースにしたファンタジー世界を構想しました。世界観もその世界の中で繰り広げられる物語も最高で、シリーズ10冊あっという間に読み終わりました。大人になってから文字通り寝る間を惜しんで読んだ数少ない作品です。

『横道世之介』吉田修一

好きな作家さんは多くいますが、出版されているものすべて読破している方はあまり多くありません。吉田修一さんはその中のひとり。映画化された『悪人』『怒り』などどちらかというと負の感情を深く掘り下げた作品が有名な吉田さんですが、個人的に一番好きなのは本作品。横道世之介というちょっと抜けたところもある、でも憎めない主人公の大学時代を描いた青春小説なんですが、なんというか友だちに会いたくなる作品なんですよね。学生時代の友人と集まったときに「その場に居ないのに必ず話題に出るあいつ」そんな友だちいますよね。そんな思い出話をしているような懐かしく温かい気持ちになる小説です。

『GO』金城一紀

10選を選んでいて最後に選んだ作品。それまでこの小説を好きな小説として挙げたことはなかったし、そこまで意識していた訳でもなかったのですが「小説代わり」と言われて、自分に影響を与えてきた作品を振り返るとこの作品が自然と思い浮かんできました。在日コリアンというテーマ自体に自分自身が直接馴染みがあったわけではなかったが、差別というテーマ、そして普段表に出していない内面の告白という抽象度を挙げた見方も含めて印象深く影響を受けた作品。映画も良かった。そして、本筋ではないのですが、主人公杉原とヒロイン桜井がオススメの作品を紹介し合い、感想を言い合う流れは私の憧れというか性癖を形作った、気がします。

あなたもやってみよう!名刺代わりの 10 冊メイカー

さて、ここまで読んだ方の中には「自分も10選を考えてみたい!」と感じている方もいらっしゃるかと思います。

そんな方にオススメなのが以下のサービスです。その名も「名刺代わりの 10 冊メイカー」。書名、著者名、ISBNコードで検索することができ、10冊を選んでTwitterに投稿すると、選んだ10選の作品の書影がまとまった画像付きで投稿することができます。もちろんこのサービスを使わずに直接ツイートしてもまったく問題ないのですが、長い作品タイトルを複数入れたり、著者名の長さ(特に海外作家は長くなりがち)によっては140文字におさまりきらないこともしばしばありますし、書影付きだとわかりやすさは増しますので、便利なサービスだと感じます。

(細かいですが、Amazonと楽天のアフィリエイトIDを設定することもできますのでアフィリエイトをやっている方にもオススメです)

www.tenbooksmaker.com

 

いかがだったでしょうか。本記事では「#名刺代わり小説10選」というハッシュタグについて紹介させていただきました。もし興味はあるけど、10冊も選べないよという方がいらっしゃれば、ぜひ「いつか名刺代わりと言える作品を10作選ぶこと」を目標に色んな小説との出会いを楽しんでいってもらえると良いかなと思います。一人でも多くの人が小説の楽しさを感じてくださいますように。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。