本から本へつながる書評ブログ『淡青色のゴールド』

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書評『1週間でGoogleアナリティクス4の基礎が学べる本』ほぼ全画面全機能をキャプチャ付きで学べる基本の一冊

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書評『1週間でGoogleアナリティクス4の基礎が学べる本』ほぼ全画面全機能をキャプチャ付きで学べる基本の一冊

こんにちは。書評ブログ「淡青色のゴールド」へようこそ。本記事は『1週間でGoogleアナリティクス4の基礎が学べる本』の書評記事です。Googleアナリティクス4についてこの一冊で一通りのことを理解し、導入・活用に向けた一歩を進めることができます。

 

内容紹介

本書はGoogleが提供するアクセス解析ツールGoogleAnalytics4の活用方法を学ぶことができる本です。GoogleAnalytics4(以下GA4)は従来のGoogleAnalytics(ユニバーサルアナリティクス、UA、第3世代)に変わって登場した新世代のアクセス解析ツールです。GA4は2020年10月にリリースされましたが、機能や画面、考え方などが従来のユニバーサルアナリティクスとは大きく異なっており普段からアクセス解析を行っている解析担当者やマーケターでも戸惑う場面が多かったことや、UAが引き続き利用可能だったこともあり、GA4の導入や移行はあまり進まないままとなっていました。本書はそんなGA4を基礎から学ぶことができる内容となっています。GA4への移行や新規導入、各種機能や画面の見方などをこの一冊である程度網羅することができますので、「基礎が学べる本」というタイトルではありますが、アクセス解析初心者の方にしろある程度慣れている方にしろとりあえずこの一冊を一通り読んで、手元に置いておけば大丈夫といえる一冊です。

本書の構成(目次)

本書は以下のように構成されています。

1日目 GA4の学び方を学ぶ
 これまでのGoogleアナリティクス
 GA4の概要-これからのGoogleアナリティクス
2日目 GA4移行&新規設置マニュアル
 GA4の初期設定
 Googleタグマネージャーを使った初期設定
 GA4のイベントの利用と設定
 コンバージョン設定
 IP除外フィルタの設定
 クロスドメイントラッキング
3日目 GA4のダッシュボード解説1
 ダッシュボード機能利用頻度ランキング
 レポート―レポートのスナップショット
 レポート―リアルタイム
 レポート―ユーザー
 レポート―ライフサイクル
 レポート―ライブラリ
4日目 GA4のダッシュボード解説2
 探索
 広告
 設定
 管理
5日目 データ探索の基礎
 データ探索の目的
 データ探索の主要機能
 データ探索での分析方法
6日目 データ探索応用
 データ探索での分析の応用
 テンプレート活用のケーススタディ
 Googleデータポータルをデータ探索の代わりに用いる
7日目 追加データ取得と確認方法
 追加データ取得とは
 Googleタグマネージャーへのタグ投入による追加データの取得
 サイト内クエリの取得
 BigQueryにエクスポートされたデータ
付録 FAQ:よくある質問

本書をオススメする人

本書は以下のような方に特にオススメです。

  • 組織内のWeb担当の方
  • アクセス解析等の業務に関わる方
  • マーケティングや広報担当の方でウェブ解析等のデータも担当する方
  • アクセス解析やデジタルマーケティングを支援する立場にある方

ついに発表されたユニバーサルアナリティクスの停止

GA4は2020年10月にリリースをされましたが、リリースから1年半が経つ2022年春まではそこまでGA4への移行は進んでいない状況でした。GA4になって機能が大きくアップデートされたというメリットはあるものの、従来のGoogleアナリティクスとは機能や考え方、画面の見た目などさまざまな面が異なっており、多くの担当者が戸惑っていたことに加え、従来のGoogleアナリティクス(第3世代のユニバーサルアナリティクス)が引き続き利用可能だったためです。GA4を早めに導入している場合でも、ユニバーサルアナリティクスの利用を完全に止めてGA4に完全移行するということではなく、両方のタグを設置して両ツールを並行稼動することが多くの場合選択されていました。実際本書は2012年の9月に出版されたものですが、本書内の記述でもユニバーサルアナリティクスとGA4に並行稼動が推奨されています。

ただし、こうした状況は2022年3月にユニバーサルアナリティクスのサポート停止が発表されたことで大きく変わりました。今後のスケジュールは以下のように発表されています。

2023年7月1日 ユニバーサルアナリティクスの計測停止(これ以降はデータが溜まらない)
2023年7月1日以降(最低)6ヶ月 ユニバーサルアナリティクスの過去データ閲覧のみ継続
2024年1月1日以降のどこかのタイミング ユニバーサルアナリティクス閲覧も停止される ※最終的なサポート停止日は今後数ヶ月以内にアナウンスされる予定

詳しくはGoogleアナリティクスのヘルプをご確認ください。

support.google.com

来年の7月1日以降は計測されなくなることが発表されてしまいましたので、昨年のデータとの比較などを行うためにはGA4を6月末までには導入しGA4でのデータ計測を開始する必要がある、ということです。

私自身もそうですが、この発表を受けて慌ててGA4の勉強や対応方針の検討を進めている担当者や組織は多いのではないでしょうか。GA4の導入支援サービスも各社から発表されているようです。社内にWeb担当者がまったく居ないようであればそうしたサービスを利用するのも悪くはないと思いますが、少なからず解析ツールやHTML等を触ることのできる担当者がいるのであれば、まずは本書のような基本的な書籍を一冊読むなりして、自社内で対応可能なのかどうかを判断してみても良いかなと思います。まだ、それぐらいの時間は十分にあります

7月1日を超えてしまったとしても、そのタイミングでまだ対応方針が決めきれていないようであればおそらくそもそも普段からそこまでGoogleアナリティクスのデータを意思決定の中で重要な要素としては活用していないと思われますので、しっかり情報収集してから対応方針を決めるということで良いのかなと思います。(決済システムやCRMシステムなどGoogleアナリティクスと連動させているようなツール、システム側がまだGA4への対応を完了していないという状況もあると思いますし、それらのシステム側もユニバーサルアナリティクスアナリティクス終了の発表を受けて大急ぎでGA4対応を進めていくということが今後数ヶ月で進んでいくと思いますので、そうしたことも含めて情報収集していくのが良いかと個人的には思います)

GA4の設計思想、機能・画面を一冊で一通り理解することができる

さて、本書についてですが『1週間で学べる』とタイトルに冠されている通り、7日間で読み切れるような構成で書かれています。構成に従って少しずつ読み進めていくのも良いと思いますし、取り急ぎ必要なところだけ読むという使い方でも良いと思います。全体のページ数は500ページ弱とそれなりに多いですが、画面キャプチャなど画像がかなり多いので必要なところのみの拾い読みであれば1日で読むこともできてしまうでしょう。

特に2日目〜4日目の内容は、GA4の画面上に表示されているメニュー項目を上から順番に項目ごとに解説しており、そのすべてが画面キャプチャ付きで解説されていますので、とりあえずこの部分を読むだけでGA4の機能や画面への理解はできますし、この解説の中で従来のGoogleアナリティクスの中の機能や分析視点のどこに対応するのかといったことも併せて解説してくれていますので、GA4になんとなく感じていた不安感や「これまでできていた分析ができなくなるのでは」といった疑問も概ね解消します。

5日目、6日目で詳しく解説される「データ探索」については、GA4になって強化された分析視点や機能であり、解析系の業務に関わる方や関心が強い方であればむしろGA4を使うのが楽しみになるでしょう。

多くの著者によりさまざまな現場が想定されている書き方は好感が持てる

本書の執筆者はウェブ解析士協会所属の解析士の方たちが行っているようで、導入部分にしろ分析部分にしろ、普段からアクセス解析データを積極的に活用している組織からあまり活用できていなかったり詳しくなかったりする組織まで、さまざまな現場のことを想定しながら書かれていると感じる点は好感が持てますし、私のようにさまざまなクライアント組織への導入支援やデジタルマーケティング支援を行う立場からすると、複数の現場のことを想像しながら読み進められるのは助かるところでもありました。

ただし、著者がバラバラなことによるのか若干記述にブレを感じるところもありました。例えばGA4の中心概念でありユニバーサルアナリティクスとは発想が変わった「イベント」について。GA4では予め自動取得されるように設定されているイベントがあるのですが、「自動取得されるイベントだけで十分なケースは稀であり追加の設定が必要」と書かれている箇所もあれば「自動取得されるイベントだけでも必要な情報が得られるケースも珍しくありません」と書かれている箇所もあり、記述が揺れています。執筆担当の方が普段どのような組織で働いていたり、支援したりしているかによって評価の異なるところかと思いますが、まったく逆のことが書いてあったので違和感を覚えました。まぁ実際に追加の設定が必要かどうかはその現場でどのようなデータが必要とされているかをその都度考える必要があるので、別にどちらかの記述に引っ張られる必要は特にないのですが、書籍内のメッセージの一貫性に無頓着というか若干の雑さを感じる部分です。

これは本書に限らずウェブ解析士協会が関わる書籍では残念ながらよくあることです。私自身も上級ウェブ解析士を所有しているのですが、試験問題にすら誤字や出題ミスがあったので、もうそういうものなのかなと思っています笑 致命的な部分ではないので、このことをもって本書の評価を落とそうとは思わないのですが、読んでいる中で気になる方もいらっしゃるかと思いますのでお伝えしておきます。

章末のおさらい用の「問題」が面倒くさくもありがたい

本書では各章(1日目、2日目…)の終わりに「おさらい」として、その章の内容を復習するような練習問題が掲載されています。次の中から「正しいもの(誤っているもの)を選びなさい」というようなよくある四択の文章問題で、しっかりやろうとするとまぁまぁ面倒くさいのですが、それでも難問か間違ってしまったり、問題を読んだ時点で「あ、これ分からないな。この部分ちゃんと読めてなかった」などと気づくものもいくつもありました。

この手のツールの解説本はどうしても必要なところだけの拾い読みになりやすいですし、基本的にはそれで良いと思うのですが、練習問題やその解説を読むことで、事前に判断した必要不要とは別に気づきを得られるところもあり、この練習問題はやって良かったなと感じました。

(ちなみに練習問題にも一部、問題文と解説の文章の書き方が何度読んでも合っていないと思われる、おそらく出題ミスの箇所がありましたので、まぁざっくりと使うのが良いかと思います)

 

 

本書を読んだ方にオススメの本・情報

最後に本書を読んだ方や関心を持った方にオススメの本や情報をご紹介します。

Google Analytics 4 ガイド

Google Analytics 4 ガイド – アクセス解析ツール「Google Analytics 4」の実装・設定・活用のための情報サイト

まず1つ目は株式会社HAPPY ANALYTICSが運営する「Google Analytics 4 ガイド」です。株式会社HAPPY ANALYTICSはウェブ解析業界では有名な小川卓さんの会社です。(小川さんは『1週間でGoogleアナリティクス4の基礎が学べる本』の監修者でもあります)かなり充実のサイトとなっていますので、書籍よりもWebページで必要なところだけ学習したいという方はこちらのサイトをご確認いただくと良いかと思います。また、書籍の方が良いという方もにもオススメです。というのもGA4はまだ発展途上のサービスで、機能や画面のアップデートがそれなりの頻度で続いていることもあり、書籍だけだと情報に遅れが出てしまうこともありますので、一通りの理解を書籍で行った後に最新の情報を収集する場所として活用していくのが良いかと思います。

Google&Yahoo!タグマネージャーの教科書

続いてご紹介するのはタグマネージャーについての書籍です。GA4の導入や活用を進めていく上ではユニバーサルアナリティクス時代以上にGoogleタグマネージャー(GTM)との連携を考えた方が良い場面が多くなるといえます。これまでGTMを使っていなかったという組織や現場でも今後は必要になるというケースも多くあると思いますし、導入・活用するのであればタグマネージャーは早めに導入するに越したことはないので、GA4の導入に併せてGTMも導入するのが有効な場合も多いでしょう。ということでタグマネージャーの基本を学ぶのにオススメの一冊です。

Webサイトの分析・改善の教科書

最後にご紹介するのは解析や解析を活用したマーケティング施策改善のための書籍です。『1週間でGoogleアナリティクス4の基礎が学べる本』はGA4の機能や画面に沿ってかなり丁寧に書いてありますので、ある程度解析業務に慣れている方であれば、GA4をどのように実際に活用していくかというイメージも湧かせながら読めると思いますが、GA4を機にデータを活用していきたいと考えていらっしゃる場合には、GA4の機能の解説だけでは、実際に自組織が取り組んでいる施策をどのように評価したり改善方法を考えれば良いのかということはなかなか発想しにくいと思います。そういう方にオススメなのがこちらの書籍です。各種SNSやメール、広告など具体的な施策の種類ごとにどのような指標を見て、どのように判断をしたり、改善方法を考えれば良いのかということがわかりやすく解説されています。それなりに分厚い本ではありますが、一冊読めばWebマーケティング、デジタルマーケティングに関わる基本的な視点や発想が身につく本といえますのでオススメです。

最後までお読みいただきありがとうございました。