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オードリー若林正恭のエッセイの順番(出版順、おすすめ順)をご紹介

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オードリー若林正恭のエッセイの順番(出版順、おすすめ順)をご紹介

こんにちは。書評ブログ「淡青色のゴールド」へようこそ。本記事では「オードリー若林正恭のエッセイの順番(出版順、おすすめ順)をご紹介」と題し、若林正恭さんのエッセイについて出版順とオススメの読む順番を内容紹介とあわせてお伝えします。

 

オードリー若林正恭さんのエッセイの魅力

テレビやラジオで若林さんのことを好きになった方にはぜひエッセイも読んでみて欲しいです。若林さんを好きになる方というのは多かれ少なかれ彼の持つ視線や態度に共感している部分があるのですが、日常や社会生活の中での違和感や戸惑いについて綴ったエッセイを読むとその共感はさらに増していくと思います。

若林さん本人は共感して欲しいとか、勝手に自分を重ねて若林さんを見る人のことはそんなによく思っていないと思うのですが、そうした部分の感覚もエッセイでの語りを読んでいると感じることができますし、単純に彼の成長や生き様を立体的に感じられるようになり、出演しているテレビやラジオでの活躍もより一層楽しめるようになります。

オードリー若林さんのエッセイの出版された時期、順番

若林さんは2023年4月時点で3冊のエッセイ(うち一冊はエッセイというよりは紀行文)を出しています。また、若林さん自身の著作という形ではないのですが、トーク番組の内容が書籍化したものもありますのでそれも含めて全4冊についてご紹介します。

出版順は以下の通りです。

  1. 1. 社会人大学人見知り学部卒業見込(単行本:2013年5月17日 文庫本:2015年12月25日)
  2. ご本、出しときますね?(単行本:2017年4月25日 文庫本:なし)
  3. 表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬(単行本:2017年7月14日 文庫本:2020年10月7日)
  4. ナナメの夕暮れ(単行本:2018年8月30日 文庫本:2021年12月7日)

エッセイの表紙の写真

写真はいずれも文庫本版です

オードリー若林さんのエッセイ内容紹介とオススメの順番

若林さんのエッセイのそれぞれの内容や魅力、オススメのポイントについて紹介していきます。

社会人大学人見知り学部卒業見込

若林さんの最初のエッセイ集で、『ダ・ヴィンチ』での連載開始当初から大人気となり、読者支持第一位を獲得したエッセイシリーズが書籍化されたものです。人見知りであったり、物事を見る目線がまっすぐではなく斜に構えていたり、明るく強く人気者というお笑い芸人とは違った若林さんのキャラや物事を見る目線、語る内容に惹かれている人は少なくないと思いますが、そんな若林さんがまさに「人見知り芸人」としてテレビに出始めて、テレビの世界や大人の社会に対して様々な戸惑いを感じていた頃のことが収められています。文庫版は「完全版」となっており、単行本版に100ページ以上の加筆が行われていますので、現在購入するなら文庫版がオススメです。個人的には内容はもちろんのこと各エッセイの扉絵が若林さんの直筆イラストになっているのですが、このイラストも味があって良い感じです。

Amazonの内容紹介から引用します。

若手芸人の下積み期間と呼ばれる長い長いモラトリアムを過ごしたぼくは、随分世間離れした人間になっていた―。スタバで「グランデ」と頼めない自意識、飲み屋で先輩に「さっきから手酌なんだけど!!」と怒られても納得できない社会との違和。遠回りをしながらも内面を見つめ変化に向き合い自分らしい道を模索する。芸人・オードリー若林の大人気エッセイ、単行本未収録100ページ以上を追加した完全版、ついに刊行!

ご本、出しときますね?

同名のトークバラエイティ番組が書籍化されたものです。若林さんは読書家で日頃から多くの本を読んでいるのですが、この番組は若林さんがMCを務め、毎回2人の小説家をゲストに招き3人でトークを行うというもの。若林さんはラジオ等のトークでも朝井リョウさんや西加奈子さんなど小説家との交友関係について話題にすることが多いですが、この番組をきっかけにつながった関係も多そうです(第1回のゲストが西さんと朝井さん)。トークの内容もゲストの小説家の作品の内容を掘り下げるところから本人の生活や生い立ち、価値観にまで踏み込んでいったりと若林さんの質問力や引き出す力が遺憾なく発揮されています。

なお、この番組はテレビプロデューサーの佐久間宣行さんが手掛けたものです。毎回異なるゲストを迎えてのシンプルなトーク番組という形式も含めて現在放送されている『あちこちオードリー』の前身とも言えるでしょう。

登場するゲストは西加奈子、朝井リョウ、長嶋有、加藤千恵、村田沙耶香、平野啓一郎、山崎ナオコーラ、佐藤友哉、島本理生、藤沢周、羽田圭介、海猫沢めろん、白岩玄、中村航、中村文則、窪美澄、柴崎友香、角田光代、尾崎世界観、光浦靖子という豪華な顔ぶれ。各回の最後にはゲスト出演した作家のオススメ小説で締められているのも読書好きとしては嬉しいポイントです。

Amazonの内容紹介から引用します。

芸人・若林正恭が司会進行を務めるテレビ番組の書籍版。毎回2名の作家がゲストとして登場し、日常生活や仕事のスタイルを語る。

登場するのは人気作家ばかりだが、頻繁に繰り返される話題がある。「嫉妬」だ。対談企画に出ると相手と自分、どちらの発言が多く使われたか記事の行数をチェックして割り出すという朝井リョウ。芥川賞受賞前、同世代の作家が同賞を獲ったという新聞記事をめちゃくちゃに破いたという藤沢周。同期作家の活躍を見ると、足を掴んで引きずりおろしたくなるという窪美澄。普段から若林と親交があるためか、作家たちの口から出る言葉はあまりに率直で楽しい。作家が作品を生み出すモチベーションは、意外と世俗的な部分にあるかもしれない。作家と作品に親しみと興味が湧いてくる。

評者:松岡瑛理

表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬

『社会人大学人見知り学部卒業見込』に続く若林さんエッセイの第2弾がこちら。突然思い立ったキューバ旅行の様子を綴った旅行記・紀行文となっており、チケットを取るところから、キューバに降り立ち何を見て、食べ、どんな人に会い、何を感じたのか、詳しく分かりやすく書いてあるのですが、前作に比べて文章の魅力が格段に増していると感じました。『社会人大学人見知り学部卒業見込』も若林さん独特の着眼点で世の中を見ていることがわかりとても面白かったのですが、本作は単純に紀行文としての描写力、構成力も素晴らしく、紀行文の文学賞斎藤茂太賞を受賞するのも納得の出来です。

文庫版ではキューバ旅行に加えてモンゴル・アイスランドへの旅行の様子、そしてコロナ禍直後の東京で感じたことの3編が追加されており、どれも素晴らしかったです。キューバやモンゴルで日本の資本主義経済のあり方やそこで働く自分自身について考える視点は、本当に物事を自分の視点でしっかりと考え、言葉にするのが上手な人だなと思いますし、アイスランド旅行での年越しの様子は自分の「好き」の感情に向き合う楽しさを感じさせてくれました。

文庫本の解説はCreepy Nuts DJ松永さんが書いているのですが、解説というよりももはや若林さんへのラブレターといった趣きのアツい文章で、若林さんに共感し、毎日を生きていこうとしている方であれば本文の内容も含めて涙が出てくる素晴らしさでした。

個人的には本作が一番好きです。

Amazonの内容紹介から引用します。

第3回斎藤茂太賞受賞! 選考委員の椎名誠氏に「新しい旅文学の誕生」と絶賛された名作紀行文。

飛行機の空席は残り1席――芸人として多忙を極める著者は、5日間の夏休み、何かに背中を押されるように一人キューバへと旅立った。クラシックカーの排ガス、革命、ヘミングウェイ、青いカリブ海……「日本と逆のシステム」の国の風景と、そこに生きる人々との交流に心ほぐされた頃、隠された旅の目的が明らかに――落涙必至のベストセラー紀行文。特別書下ろし3編「モンゴル」「アイスランド」「コロナ後の東京」収録。解説・Creepy Nuts DJ松永

いざキューバへ!

ぼくは今から5日間だけ、
灰色の街と無関係になる。

ロングセラー傑作紀行文
書下ろし新章
モンゴル/アイスランド/コロナ後の東京

俺は誓いました。
あなたのように
生々しく生きていこうと。
(Creepy Nuts DJ松永「解説」より)

ナナメの夕暮れ

若林さんエッセイの三作目ですが、二作目の『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』は書き下ろしの紀行文でしたので、純粋なエッセイとしては『完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込』に続く位置付けの作品で、「ダ・ヴィンチ」の連載を元に書き下ろしを追加したものとなっています。

タイトルの「ナナメ」というのは若林さんが社会や物事を見るときの斜に構えた視点や態度のこと。そうした視点や態度が大人に、おじさんになっていく中で変わっていき「夕暮れ」に差し掛かっているという感覚を表しています。昔は馬鹿にしていたものや理解できなかったものが、少しずつ楽しめるようになったり、あるいはどうでもよくなったり。そうした自分の変化は大人になっていく中で、多くの人が感じるのではないでしょうか。

本作の魅力はそうした自分の変化に対して戸惑ったり、向き合っていく過程の言語化力が突き抜けていることです。この「自分が変わっていくことに素直に向き合う姿勢」は、長年ラジオやテレビで彼の話すことや振る舞いを見ていても感じることではあるのですが、自分自身と対話するように書かれているエッセイでは若林さんと会話しながら読み進んでいけるようなそんな感覚があります。

文庫版では山里亮太さんとのユニットたりないふたりの最終ライブ「明日のたりないふたり」についても書かれていて、ライブ配信の熱量を思い出して、ライブ見たときも泣いてたのですが、エッセイを読んでまた泣きました。

だいぶこってりファンのレビューになってしまいましたが、テレビ等で若林さんを知って興味を持ったという方にも自信を持ってオススメできます!

Amazonの内容紹介から引用します。

オードリー若林、待望の新エッセイ集!
『完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込』から3年。
雑誌「ダ・ヴィンチ」での連載に、大幅に書き下ろしエッセイを加えた、「自分探し」完結編!

ゴルフに興じるおっさんなどクソだと決めつけていた。
恥ずかしくてスタバで「グランデ」が頼めない。
そんな自意識に振り回されて「生きてて全然楽しめない地獄」にいた若林だが、四十を手前にして変化が訪れる――。

ゴルフが楽しくなり、気の合う異性と出会い、あまり悩まなくなる。
だがそれは、モチベーションの低下にもつながっていて……

「おじさん」になった若林が、自分と、社会と向き合い、辿り着いた先は。

キューバへの旅行エッセイ『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』では第三回斎藤茂太賞を受賞。
「生き辛い」と感じている全ての人に送ります。

オススメの順番

どれから読んでも面白いので、気になるものから手にしていただけると良いかと思いますが、関心や状況によって最初の一冊のオススメは変わります。

  • 学生の方や社会人になりたての方→『社会人大学人見知り学部卒業見込み』から
  • 30代半ば以降の方→『ナナメの夕暮れ』から
  • 旅行が好きな方→『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』から
  • 読書が好きな方、あちこちオードリーが好きな方→『ご本、出しときますね?』から

最新エッセイはどこで読める?その他おすすめコンテンツも

 

note

note.com

 

『ナナメの夕暮れ』に続く若林さんの最新エッセイはいつ出るのか、と気になる方もいるかもしれませんが、若林さんは雑誌でのエッセイ連載は終了しており、出版の予定は経っていません。代わりに現在はnoteで独自にエッセイの連載を行っていますので、エッセイ本を読んでさらに若林さんの文章を読みたくなったという方はぜひnoteの有料購読をオススメします。noteでは直近で取り組んでいる仕事に関してのこぼれ話だったり、質問への返答などnoteならではのコンテンツもあるのがオススメです。

佐藤と若林の3600(Podcast)

www.audible.co.jp

その他では、佐藤満春さんとのラジオ(podcast)番組であるもオススメです。佐藤と若林の3600はAudibleのオリジナルコンテンツとして制作・配信されているのでAudibleのみでしか聴くことができませんし、内容について一切の口外が禁止となっているのでSNSやブログ、あるいはネットニュース等でその内容を知ることもできませんので、興味のある方ぜひ聴いてみてください。オーディオブックサービスのAudibleは月額の有料サービスですが、初月は無料で聴くことができますし、オールナイトとはまた違った雰囲気で自由に話している若林さんを楽しむことができますのでオススメです。

Audibleの無料お試しはこちらからどうぞ↓↓↓

 

たりないふたり

tver.jp

2023年4月から山里亮太さんと若林さんそれぞれのエッセイを原作としたドラマ「だが、情熱はある」が放映されることを受けて、お二人のユニットたりないふたりの過去放送分がTverで公開されています。これまでhuluのみでの配信だったのですが、Tverだとより気軽に見れるかと思いますのでこの機会をお見逃しなく!

若林さんのエッセイに興味を持った方にオススメの本

最後に若林さんのエッセイを読んだ方や関心を持った方にオススメの本をご紹介します。

『天才はあきらめた』(山里亮太)

まず一冊目は南海キャンディーズ山里亮太さんのエッセイです。若林さんとは長年たりないふたりというユニットで活動しており、この度ドラマ化もされることになりましたので、若林さんのエッセイと合わせて読むのがオススメです。ちなみに本書の解説は若林さんが書いています。

『いのちの車窓から』(星野源)

若林さんのことが好きな方であれば、星野源さんとの交友についても知っている方も少なくないかと思います。お互いのテレビ・ラジオ番組へのゲスト出演を重ねて徐々に仲が深まって、内面を開示しあっている様子に心温まっているファンも多いと思いますが、そんな雰囲気が好きだという方には星野源さんのエッセイもオススメです。星野さんのエッセイは作品ごとに雰囲気がけっこう異なるのですが、最近の星野源さんのイメージに近いのはやはり最新作の本作です。

その他のエッセイについては以下の記事に詳しく書いていますので良ければこちらもお読みください。

 

daisuket-book.hatenablog.com

 

『自分の中に毒を持て』(岡本太郎)

続いてご紹介するのは岡本太郎さんのエッセイ。若林さんはエッセイやインタビュー等の中で岡本太郎さんからの影響について度々言及しています。岡本さんの苛烈な生き方や語り口は一見すると若林さんとは雰囲気が異なりますが、生き方や目線の持ち方といったところにはやはり共通点もあるような気がしますね。

『暇と退屈の倫理学』(國分功一郎)

続いてご紹介するのは哲学者の國分功一郎さんの著作。キャッチーなタイトルとテーマ設定もあってか哲学書としては異例のベストセラーとなり、文庫化もしています。若林さんは文庫版の帯を書いていたり、國分さんと対談をしていたり、オススメ本として本書を紹介(「午前0時の森」)したりしています。内容は哲学書ではありますが、國分さんの本は非常に読みやすく、哲学思想に詳しくなくても楽しく読み進めていくことができます。

『私とは何かーー「個人」から「分人」へ』(平野啓一郎)

最後は小説家の平野啓一郎さんの著作です。本書で紹介されているのは「分人」という考え方で、「本当の自分」として個人ではなく、人は本来場面や一緒にいる相手との関係によって相互の影響も含めてさまざまな自分にわかれているものであり、そのどれかが本当の自分ではなく全部が自分であるというような考え方のことで、若林さんはラジオやテレビのトークでもしばしばこの分人の考え方を参照して話をすることがあります。知ると生きにくさが少しやわらぐ感覚を持てる方も多いと思いますので非常にオススメです。

書評も書いておりますので良ければお読みください。

 

daisuket-book.hatenablog.com

 

最後までお読みいただきありがとうございました。