本から本へつながる書評ブログ『淡青色のゴールド』

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改めて「インターネット」について考えるためのオススメ本5冊

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改めて「インターネット」について考えるためのオススメ本5冊

こんにちは。書評ブログ「淡青色のゴールド」へようこそ。本記事では「改めて「インターネット」について考えるためのオススメ本5冊」と題し、インターネットについて様々な角度から学び、考えるためにオススメの本をご紹介します。

 

Web3に注目が集まる今だからこそ改めて考えたい「インターネットって何?」

ブロックチェーン技術やメタバースなどWeb3と呼ばれる技術や発想の進展に注目が集まってきています。また、それらとしばしば関連してくるAIもchat-GPTを始め気軽に使えつつ、精度や対応範囲が驚異的な速度で広がっており、技術環境の変化に注目が集まっています。こうした動きを受けて、ビジネス面への活用や自社の対応をどう考えれば良いかということが気になる方もいらっしゃると思います。一方で個人として、自分の仕事や生活がどのように変わっていく、あるいは変えていく必要があるのだろうかと考えている方もいらっしゃるかと思います。Web3や、その文脈にある技術や発想に、ビジネス上の変化などについてまとめた書籍も次々と出版されており、そうした書籍を手にしている方も多くいらっしゃるのではないかと思います。いま現在起こっていることを理解するためにそうした書籍を取ることは悪いことではないと思います。実際私自身も何冊も読んでいます。

ただ、いま起こっている変化がどのようなもので、どのような意義を持つのかといったことを考えるためには、現状や過去について適切に認識することも必要です。というか、これが抜けてしまっては本質的な変化の意義は捉えようがないと考えています。

そのような認識の上で、改めてインターネットについて考えてみたいと思い、再読を含めて開いた5冊の本をご紹介します。一口に「インターネットについて考える」といっても、技術的な側面から各サービス等のビジネス面を含めた側面、文化面や社会面などさまざまな切り口があります。今回選んだ5冊はなるべく広い観点からインターネットのこれまでを捉え直す視点を提供してくれる本です。

『インターネット的』(糸井重里)

まず一冊目は糸井重里氏の『インターネット的』です。

「インターネット的」であるとは「リンク・フラット・シェア」であると糸井さんは言います。いまこれを読むと別になんてことはない当たり前のことを言っていると感じる方が多いと思いますが、本書は元々は2001年に出版された書籍です。2001年といえば日本でもパソコンやインターネット自体は普及し始めたものの、Web2.0と呼ばれるような動きよりも前であり、今ほどインターネット上でのサービスにより社会や人々の価値観が大きく変わることが予想される前でしたが、その時代にこれだけ本質的にインターネットの特徴を言い当てていたことは驚きです。

私が本書を初めて読んだのは2012年にKoboの電子書籍でした。当時本書は絶版になっていて、2010年にWeb企業に就職する前後くらいから探していたのですが、紙の書籍はなかなか見つけることができずにいたものを、電子書籍というまさにインターネット的なサービスによって簡単に入手できるようになったことに感動していたものでした。

その後本書の糸井さんの記述は「まるで予言である」と改めて話題となり、現在では糸井さん自身による書き下ろしを加えた改訂版を読むことができます。Web3という動きの中で社会や人々がどのように変わっていくのか、予想をすることは難しいと思いますが、20年前にその後10年20年の動きを鋭く予見した糸井さんの文章を読みながら考えてみるのは面白いと思います。

Amazonの内容紹介から引用します。

“インターネット的”とは何か、社会はどう変わるのか―。本書は『ほぼ日刊イトイ新聞』を始めた当時の糸井重里が、インターネット登場後の世界について考察したもの。パソコンすらいらない、「消費者」なんていない、自分を他人にするゲーム、寝返り理論、消費のクリエイティブ、妥協の素晴らしさ…。綴られる言葉は、普遍的価値を持つ。巻末に書き下ろし「続・インターネット的」を収録。

『アーキテクチャの生態系』(濱野智史)

続いてご紹介するのは濱野智史さんによる『アーキテクチャの生態系』です。主に2000年代ぐらいの日本で展開された具体的なWebサービスやトレンドを、それぞれのサービスの構造(アーキテクチャ)面に特に着目しながら紐解いていく論考です。取り上げられているのは、mixi、2ちゃんねる、ニコニコ動画、Winny、初音ミクにケータイ小説です。サービス上でどのような情報をまとめ、ユーザーに表示するか、といったサービスの構造のあり方がしばしばサービス運営者の当初の意図とは異なるところでユーザーに受けたり、各サービスを中心とした文化を作ってきたのかという話は、UIやUXなどのデザインに関わる方には必読の内容かと思います。

本書が最初に出版されたのはスマートフォンが登場し、SNSとしてはmixi全盛の日本にFacebookが進出を開始したが…、という状況で、Facebookの進出は成功しないだろうという予想が大半だった時代です。実際にはその後mixiの勢いは止まり、Facebookが大成功しました。また、本書は主に日本のサービスについて分析するということで、アメリカ等との文化的な比較も含めた分析がなされており、日本独自の動きというところにも注目されているところもポイントです。日本ならではの動きや文化というのは今でももちろんあるのですが、例えばTwitterで一人が複数アカウントを持ち趣味アカウントなどを使い分けるなどの使い方も当初は日本ならではのものとされていましたが、徐々にそうした活用の仕方(文化)自体が日本以外のユーザーにも広がっていくというような本書の視点を超えたようなことも実際に起ってきています。

国境どころかサーピスやプラットフォームの境すらもなくなり真の意味で分散的なインターネットの理想の実現も改めて模索されている状況の中で、これまでのインターネット文化がどのように作られ、受容されてきたのかを振り返ってみたい方には非常にオススメです。

Amazonの内容紹介から引用します。

mixi、2ちゃんねる、ニコニコ動画、ケータイ小説、初音ミク…。なぜ日本には固有のサービスが生まれてくるのか。他の国にはない不思議なサービスの数々は、どのようにして日本独自の進化を遂げたのか。本書は、日本独自の「情報環境」を分析することで、日本のウェブ社会をすっきりと見渡していく。ウェブから生まれた新世代の社会分析、待望の文庫化。

『ウェブ進化論』(梅田望夫)

3冊目はアメリカでIT企業の経営コンサル企業を経営している梅田望夫さんの『ウェブ進化論』です。出版当初から話題となり、Web2.0の潮流や特徴について論じた本の中では最も有名なものの一つではないでしょうか。GoogleやAmazonによって従来のビジネスの構造が大きく変わり、インターネット上に公開された情報を誰もが低コストで活用して自由に新たなビジネスを開発していく時代になったことを指摘しました。また、そうした情報環境の変化により「知」の構造が大きく変わったと解説したことも本書が大きな影響を持った点の一つでしょう。何かを知りたい、学びたいと考えた人はインターネットを使って、どんどん新しい知識や学びを得たり、新たな出会い・つながりを得ていくことを棋士の羽生善治さんの言葉を引きながら「学習の高速道路」という形で表現していたことは当時多くの人をエンパワメントし、インターネットについてのポジティブな期待を大きく広げた書籍でした。実際にこの「学習の高速道路」を使いこなして育ってきた世代として藤井聡太という棋士が登場したことにより本書に記載されていた希望の一端は実現していると感じます。

もちろんインターネットはこうした前向きな側面だけでなく、誹謗中傷や炎上、インターネットをならではの犯罪など負の側面もありますし、実際梅田さん自身はSNS全盛となる時代ぐらいにネット上の文化や潮流に何か悲観的に思うところがあったのか、書籍や記事等への発信は止めてしまっています。

希望的に捉えられることの多いWeb3関連の技術の活用や、その影響による社会の変化などを考える上で、本書を改めて読むことで感じることは少なくないかと思います。

Amazonの商品紹介から引用します。

インターネットが登場して10年。いま、IT関連コストの劇的な低下=「チープ革命」と検索技術の革新により、ネット社会が地殻変動を起こし、リアル世界との関係にも大きな変化が生じている。ネット参加者の急増とグーグルが牽引する検索技術の進化は、旧来の権威をつきくずし、「知」の秩序を再編成しつつある。そして、ネット上にたまった富の再分配による全く新しい経済圏も生まれてきている。このウェブ時代をどう生きるか。ブログ、ロングテール、Web2.0などの新現象を読み解きながら、大変化の本質をとらえ、変化に創造的・積極的に対処する知恵を説く、待望の書。

『角川インターネット講座1 インターネットの基礎』(村井純)

4冊目は、角川インターネット講座からのご紹介です。角川インターネット講座は2016年にKADOKAWAから出版された書籍シリーズで、設計と思想、文化、ビジネス、最新技術など15のテーマから解説を行ったものです。各テーマの編著を担当したのが、情報技術や情報文化論あるいは情報社会論、哲学等インターネットについて様々な文脈から論じてきた研究者だったり、インターネットサービスを牽引してきた技術者や経営者だったりと著名な執筆陣だったこともあり話題になりました。(当時KindleやKoboで80%OFF、90%OFFなどの破格のセールを行っていたことも話題になりました。私も当時のセールで15巻セットの合本版を電子書籍で購入して読みました)以下に全15巻のテーマと執筆者を記載しますが、多岐に渡る内容を広くカバーしていますので、本記事のテーマである「インターネットを広く考える」も本シリーズをまとめて読めばそれで済んでしまうような気もしますが、まぁ全部読むのはそれなりに大変ですので、興味のあるものがあれば手にしてください。

【1巻】「インターネットの基礎」 村井純(慶應義塾大学環境情報学部長)
【2巻】「ネットを支えるオープンソース」 まつもとゆきひろ(プログラマー、Ruby設計者)
【3巻】「デジタル時代の知識創造」 長尾真(元京都大学総長、京都大学名誉教授)
【4巻】「ネットが生んだ文化」 川上量生(カドカワ株式会社代表取締役社長、角川アスキー総合研究所主席研究員)
【5巻】「ネットコミュニティの設計と力」 近藤淳也(株式会社はてな代表取締役会長)
【6巻】「ユーザーがつくる知のかたち」 西垣 通(東京経済大学コミュニケーション学部教授、東京大学名誉教授)
【7巻】「ビッグデータを開拓せよ」 坂内正夫(国立研究開発法人情報通信研究機構理事長、東京大学名誉教授)
【8巻】「検索の新地平」 高野明彦(国立情報学研究所教授、東京大学大学院コンピュータ科学専攻教授)
【9巻】「ヒューマン・コマース」 三木谷浩史(楽天株式会社代表取締役会長兼社長)
【10巻】「第三の産業革命」  山形浩生(野村総合研究所研究員)
【11巻】「進化するプラットフォーム」 出井伸之(クオンタムリープ株式会社CEO)
【12巻】「開かれる国家」 東浩紀(思想家、ゲンロン代表)
【13巻】「仮想戦争の終わり」 土屋大洋(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)
【14巻】「コンピューターがネットと出会ったら」 坂村 健(東京大学大学院情報学環教授)
【15巻】「ネットで進化する人類」 伊藤穰一(MITメディアラボ所長)

本記事で紹介するものとして取り上げたのは本シリーズの第1巻で、日本のインターネットの父と呼ばれることもある村井純氏による『インターネットの基礎』です。先にご紹介した3冊が文化的な側面やWebサービス等の分析や論考だったのに対して、本書は技術的な側面から捉えた「インターネットの基礎」が丁寧に解説されています。インターネットの歴史から、プロトコル・ウェブなど基本的かつ本質的な部分を改めて学ぶことができます。

Amazonの内容紹介から引用します。

プロトコルやウェブなど、インフラとしてのインターネットを知るための基礎知識を収録。インターネット誕生以来の歴史的記述を交え、日本における第一人者・村井純が解説。他ヴィント・サーフの講演録も初収載。

『ネットワークはなぜつながるのか 第2版 知っておきたいTCP/IP、LAN、光ファイバの基礎知識』(戸根勤)

最後にご紹介するのは日経BP社から出版されている『ネットワークはなぜつながるのか』です。日経BP社では当時『なぜ◯◯なのか』というタイトルで技術的な基礎知識を伝える書籍をシリーズ化していたのですが、『プログラムはなぜ動くのか』『コンピュータはなぜ動くのか』と併せて名シリーズでした。

『ネットワークはなぜつながるのか 』はそのタイトルの通り、ネットワークの背景を解説する書籍ですが、特徴としては技術者でなくとも基礎の基礎や概念から丁寧に捉えられるようなわかりやすい記述がなされていることです。Web3の潮流についていくためにはWeb2.0などこれまでのWebやそれを活用したビジネスの変化に比べて、技術的な背景についてある程度理解していることが求められるように感じていますので、改めてインターネットの技術的な側面について勉強し直したいという方には本書は非常にオススメです。

Amazonの内容紹介から引用します。

ネットワークはなぜつながるのか』5年ぶり、待望の改訂第2版!

ブラウザにURLを入力してからWebページが表示されるまでの道筋をたどりながら、その裏側で働くTCP/IP、LAN、光ファイバなどの技術を説明していきます。インターネットを通ってサーバーまで行って帰ってくる道筋の途中には、今のネットワークの主要な技術要素が全部あります。そこでの機器やソフトウエアがどのように動き連携しているのかを探検すればネットワーク全体の動きがわかります。

第2版では、全体の構成を見直し、探検の途中で、今、ネットワークのどの部分にいるのかを明確にしました。また、各技術の基本的な考え方や成り立ちなど、基礎的な解説を大幅に増やしたほか、個別の補足説明も注釈として多く取り入れています。大事な点は「要約」としてまとめ、読んで記憶に残るようにしました。初心者の方も、基本的なところからきちんと理解して読み進めてもらえます。

特徴1:ネットワークの全体の動きがわかる“探検ツアー”
本書は、ブラウザにURLを入力してから、サーバーがWebページの情報を返信してくるまでの過程を順番に追っていくというユニークな構成です。入力されたデータがパケットとなって、LAN、ハブ、ルーターを通り、プロバイダの回線を抜け、ファイアウォールをくぐり、次の行き先を探りながらゴールのWebサーバーを目指して、さまざまに姿を変えながら進んでいく様子を追うことで、個別技術を見ているだけではわからない、“現実の”動きがわかります。

特徴2:2大技術TCP/IP、LANが確実に理解できる!
IPアドレス、ネットマスク、デフォルト・ゲートウエイなどはパソコンのTCP/IPの設定で目にしますし、家庭内LANも普及してMACアドレスという言葉も身近になりました。「イメージとしてはなんとなくわかる」これらの用語が、現実の機器とソフトウエアがどうように動くかを知ることで、本質からきちんと理解できます。

特徴3:最先端の光ファイバの中身ものぞいてみよう!
インターネットの普及で、家庭とプロバイダをつなぐアクセス回線の技術も進んでいます。ADSLでの信号化の技術や伝送方法、光ファイバが高速化できている仕組みなどをくわしく解説しています。

以上、本記事ではインターネットについて改めて学ぶためのオススメの本を様々なテーマ、角度から5冊選んでみました。一冊でも読んでみようと思えるものが見つかれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。