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書評『エンジニアのための理論でわかるデザイン入門』どこまでを”知識”として知っていれば良いのか

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書評『エンジニアのための理論でわかるデザイン入門』どこまでを”知識”として知っていれば良いのか



こんにちは。本記事は伊藤博臣さんの『エンジニアのための理論でわかるデザイン入門』のレビュー記事です。

 

 

 

内容紹介

 Amazonより紹介を引用します。

「デザインはセンスではない。プログラムはロジック。デザインも同じだから、ITエンジニアでも十分に習得できる」をコンセプトに、「デザインセンスがない」と諦めていることが多いITエンジニアにデザインの基礎から学んでもらうとともに、実際の業務の中で「どのように活用するのか」を知ってもらう内容となっています。

 

【本書の特徴】
・センスがなくてもデザインができるようになる
・デザインの基礎が体系的に身に付く
・デザインの「なぜ良いのか」「なぜ悪いのか」を論理的に解説
・Webサービスや社内システムのUI/UXにも活かせる

 

デザインの入門書です。タイトルの通り、「デザインはエンジニアでも解る。習得できる」をコンセプトにしており、実際非常に具体的に分かりやすく書いてあります。

 

本書は「Think IT Books」というシリーズの一冊です。Think ITは技術者向けのオープンソース等の技術に関する記事の公開などを行っているWebメディアで、Think IT Booksはそのメディア内での連載記事を書籍にまとめたものです。元々エンジニア向けの記事ということで「エンジニア向けに分かりやすく」という姿勢は一貫していますし、元がWebメディアの連載記事ということで一つ一つのトピックが完結にまとまっており、サクサクと読み進めることができることも特徴です。

 

なお、技術者向けの本ですし、元がWebメディアの記事ということで当然電子書籍版もあるのですが、本書に限らずデザイン系の書籍については紙版の方がオススメです。電子書籍版では写真や画像で説明されている箇所が読み取りにくかったりします。

 

Think ITのサイトはこちらです。

thinkit.co.jp

 

Think IT Booksの他の本についてはこちらから。

book.impress.co.jp

 

エンジニアではない私がなぜ本書を読んだのか

エンジニア向けのデザイン入門書ですが、私自身はエンジニアではありません。普段はフリーランスの経営コンサルタントとして仕事をしておりますが、事業計画や経営戦略などに関するご支援の他、マーケティングやWeb・ITの体制構築、Web制作などのご支援をすることまで幅広くあります。というのも現在のようなコンサル業をする前はWeb系の事業会社でWebディレクター職をしていた関係で、現在でもWebやITに関わる案件をお受けすることも多いためです。

 

ですので私自身はデザインの基本的な知識はすでに持っているのですが、特に中小の小さな会社、組織の方とデザイン領域を含む仕事をする中で、「デザインの役割や重要性をどのように説明すれば伝わるだろうか」と考えることはしばしばあります。

 

ディレクション業務の中では、クライアントとなる企業の方のご要望を吸い上げ、それを制作を担当する(しばしば外部の)デザイナーさんやエンジニアさんにお伝えする必要があり、間に入る私自身がうまく「翻訳」を行うことが求められます。このときに、感覚だけで伝えることにはどうしても限界があります。特に中小企業の担当者の方はデザインにもITにも疎いことが少なくないため、論理的にデザインを分かりやすく説明することに強い必要性を感じていました。

 

そんなことを考えて本屋をぶらついて見つけたのが本書です。これまでにもデザイン入門書は読んでいたのですが、「理論でわかる」とタイトルに冠しているだけあって説明が分かりやすかったです。

 

ということで、デザインを論理的に理解し、一つずつ習得していきたいとお考えの方であればエンジニア以外の方にもオススメな本ですし、私のようにデザインが得意でない方とデザインについての話をする必要がある方にもオススメです。

 

この本をオススメする人

上にも少し書きましたが改めて本書をオススメしたい人をまとめます。

  • デザインについて基本的な考え方を知りたいエンジニア
  • エンジニアなどデザインが専門でない方とデザインについて話をする必要のある方(Webディレクターなど)

 

 

デザインの構成要素を分けて理解する

本書ではデザインの構成要素を大きく5つに分けて説明します。

 

その5つとは、以下の通り。

  • ビジュアル:サイトのイメージを決定づける写真やグラフィック
  • 文字:ビジュアルを補完また代行する 情報そのもの
  • 色:強調やイメージの補完
  • レイアウト:記事を読みやすく編集し、配置する役割
  • 線・飾り:記事をグループ化したり、デザインを補完する役割

すごく具体的なレベルに分けられているのでイメージがしやすいですね。

 

一つ一つの要素について具体的な考え方を説明していく際には、「ECサイトを作成する」ことを事例に、写真やフォントを変更しながら解説が進んでいく形式が非常に分かりやすかったです。


実際、Web制作をする際には画面上でいろいろと変更しながら進めていくのですが、その感覚が書籍の上でも表現されており、画面慣れしているエンジニアの方にもイメージしやすい配慮がなされているように感じます。

 

デザインの役割はコンセプトに合わせて要素を選ぶこと

また、非常に分かりやすいと感じたのは、「コンセプト」の重要性を強調していたことです。


単にデザインを5つの要素に分けて説明するのではなく、その「5つの要素を選んでいく際の基準としてのコンセプトを作成する必要がある」と説明します。

 

Webサイトやサービスにはターゲットとするユーザー像があるはずで、そのユーザー像を明確にイメージした上で、ユーザー像のイメージに合うようなコンセプトを作成し、そのコンセプトに合うように5つの要素から一気通貫で使用する要素を選択していくことが重要であるということです。

 

コンセプトに合わせて要素を選択していくことこそデザインの役割である、この説明は非常に分かりやすいですね。

 

デザインとは何ぞやということを一つ一つ定義して、順番に説明して欲しいというタイプの方には適した説明方法のように感じます。

 

デザインとは知識の集約である

さらに、本書を読んでいて印象的だったことは、デザインはセンスよりも論理や知識によるものであるという基本を強調している点です。例えば数を集めることが重要であるということを伝える際には、デザインの要素として説明した「ビジュアル」について実際に複数の写真や画像を提示しながら比較をすることが大切であることを提示したり、本職のデザイナーもいくつも候補を収集しながら比較検討して選ぶことを説明します。

 

また、知識の重要性については例えば明朝体やゴシック体などフォントの種類ごとに見た人に与える印象が異なることを伝え、そうした知識の積み重ねが大切であり、知っていさえすれば選べることを繰り返し具体的に伝えていきます。

 

この伝え方はエンジニア向け、という点ではとても大切だと感じています。というのも、エンジニアを始めITやWebの世界にいる人間にとってはある程度の視点やとっかかりさえ頭に入っていれば、それを元に検索などを駆使して随時調べながら進めていくということに普段から慣れている人は少なくありません。

 

その意味では本書は最低限知るべき、検索の元となるような視点を整理して伝えてくれるものであり、本書を読んだ上で本書をヒントに後は調べながら実践につなげていくことができるという点も本書をオススメできるところです。

 

 

 

『エンジニアのための理論でわかるデザイン入門』を読んだ方や興味を持った方にオススメの本

最後に本書を読んだ方や興味を持った方にオススメの本をご紹介します。

 

水野学『センスは知識からはじまる』

センスは知識からはじまる

センスは知識からはじまる

  • 作者:水野 学
  • 発売日: 2014/04/18
  • メディア: 単行本
 

 くまモンのアートディレクションを担当する売れっ子デザイナー水野学さんによる著作。『エンジニアのための理論でわかるデザイン入門』ではデザインに重要なのはセンスではなく知識だということが書かれていましたが、水野さんに言わせればセンスすらもそもそも知識からはじまるものであるということです。私は本書を読んでかなり励まされました。センスコンプレックスの人はぜひ手にとってください。

 

Robin Williams『ノンデザイナーズ・デザインブック』

ノンデザイナーズ・デザインブック [第4版]

ノンデザイナーズ・デザインブック [第4版]

  • 作者:Robin Williams
  • 発売日: 2016/06/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 非デザイナー向けのデザイン本としては非常に有名な一冊。製品やサービスのデザイン、あるいはチラシ等の広報などだけではなく、プレゼンスライドやマニュアルなども含めて人に見せる、伝えるための何かを作成する人であればぜひ一度読むことをオススメする一冊です。デザインの役割とは何かという点について本質的に、そして実践的に使えるヒントをたくさん得ることができます。

 

D. A. ノーマン『誰のためのデザイン?』

 UIやUXなど製品やサービスのデザインに関わる方にオススメする一冊。人が道具などの使い方を誤ることがあるとすれば、それは使う人が悪いのではなく正しく伝えることができなかったデザインが悪いのだ、というのが本書の基本的な視点。そもそも人はどのように物事を認知・認識するのかという視点から考えることでデザインについての捉え方が一段深まります。

 

Susan Weinschenk『インターフェースデザインの心理学』

エンジニアにはお馴染みのオライリーの一冊。特にWebやアプリなどの開発に関わる方にはオススメで、心理学の観点からUIデザインについて様々な知見が述べられています。100個のトピックから説明されており、一つ一つのトピックは簡潔にまとまっていますのでサクサクと読み進めることができます。