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書評『SDGs投資』は現代版『論語と算盤』渋沢栄一の子孫、渋澤健が語る「まだ見ぬ未来への投資」

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書評『SDGs投資』は現代版『論語と算盤』渋沢栄一の子孫、渋澤健が語る「まだ見ぬ未来への投資」

こんにちは。書評ブログ「淡青色のゴールド」にお越しいただきありがとうございます。本記事は朝日新書から出版された『SDGs投資 資産運用しながら社会貢献』の書評・レビュー記事です。

 

 

本書の概要

内容紹介

本書は徐々に日本でも注目を集めている「SDGs」を投資の側面から考える本です。副題が「資産運用しながら社会貢献」ということで社会貢献というキーワードが入っており、同じく社会貢献的な側面を持つ「ESG投資」との共通点や違いなども含めて分かりやすく解説していることや、資産家ではない普通の個人でも取り組みやすい投資について投資信託会社を創業した専門家が非常に分かりやすく解説してくれます。

 

SDGs投資 資産運用しながら社会貢献 (朝日新書)

SDGs投資 資産運用しながら社会貢献 (朝日新書)

  • 作者:渋澤 健
  • 発売日: 2020/05/13
  • メディア: 新書
 

 

Amazon(出版社からのコメント)より引用

楽しくなければ投資じゃない!

社会的課題を解決できなきゃ、SDGs投資じゃない!

SDGs投資とは、現代的『論語と算盤』、見えない未来を信じる力である──。

SDGs(持続可能な開発目標)の達成期限まで10年。
「誰一人取り残さない」世界目標のために個人ができる投資を、渋沢栄一『論語と算盤』をヒントにわかりやすくご紹介します。
投資とは、英語で「インベスト」。すなわち未来の可能性を、「ベスト」に「イン」すること。
そのためにお金を循環させるのが、投資の本質です。
SDGs投資ならば、舞台は世界。お金の使い方をMeからWeへ。
投資の基本のキからSDGs関連の最新動向まで、すべてがわかる一冊です。

 

本書の構成

  • はじめに
  • 第1章:MeからWeへ〜投資の本質
  • 第2章: 論語と算盤、SDGsと投資〜〝と〞で持続させる経済社会
  • 第3章:ESGとSDGsという双子の関係〜手段と目的
  • 第4章: コモンズ投信〜楽しくなければ投資じゃない!
  • 第5章: インパクト投資〜新しいお金の流れにスイッチオン

オススメ度

★★★★☆(4/5)

本書をオススメする人

本書は以下のような方に特にオススメします。

  • SDGsに興味があるけれど、自分がどのように関わってよいのか分からない。個人でも関われる方法を知りたい方
  • 「社会貢献」や「社会課題解決」に関心があるけれど、参加の方法が分からないミレニアル世代
  • 「SDGs投資」「ESG投資」「インパクト投資」「SIB」などのキーワードの興味がある方

本書は「SDGs投資」とはどういう考え方なのか、を説明する上で関連する周辺分野についても説明をしています。新書ということもあり、非常に分かりやすく説明されていますので初心者の方にもオススメです。また、本書の後半では今後の社会の変化の鍵を握る存在として特に30代前半以下のミレニアル世代の方に向けたメッセージも強く打ち出されていますので、特に若者には一人でも多く手にとって欲しい本です。

『SDGs投資』の画像

本書は電子書籍で読みました

著者渋澤健とはどういう人物か

コモンズ投信の創業者

著者の渋澤健さんは「コモンズ投信株式会社」という投資信託会社の創業者で取締役会長を務めています。コモンズ投信は2008年秋、リーマンショック直後に〝誰もが長期的な資産形成が出来る長期投資のファンド″をコンセプトに立ち上げられた会社で、投資に詳しくない普通の市民が単なる投機目的ではなく、一世代先の未来を見据えた投資をしながら資産形成をしていけるようになることを促しています。コモンズ投信を立ち上げる以前には、米国UCLAでMBAの取得、JPモルガンやゴールドマン・サックスを経て、ヘッジファンド会社の代表などを務めてきた金融のプロフェッショナルです。

渋沢栄一の子孫

そんな金融のプロ渋澤健さんですが、もう一つの顔、というか語るべきプロフィールがあります。それは「渋沢栄一の子孫」というもの。渋沢栄一は日本の資本主義の父とも言われ、明治時代に日本の銀行制度の確立の他、大小500以上の企業や団体の設立、600以上の公共事業に関わったという明治維新の立役者の一人です。高校の日本史の教科書にも出てきたのを覚えているよ、という方もいらっしゃるかと思いますし、最近では「次の一万円札の人」として話題になりましたのでそちらの文脈で覚えていらっしゃる方も多いかと思います。(日本では2024年に1千円、5千円、1万円のお札が刷新されることになっており、その際に1万円札の肖像画が福沢諭吉から渋沢栄一となる予定です。)ちなみに、2021年の大河ドラマは渋沢栄一の人生を描く「晴天を衝け」が予定されており、私も今から楽しみにしています。

渋澤健さんはその渋沢栄一の子孫(玄孫)です。日本の資本主義の父とも呼ばれ明治維新で活躍した人を先祖に持つ人が、この先の未来をつくる投資信託を押し進めているというのは素敵なことですよね。そして渋澤健さんは単に血がつながっているという以上に渋沢栄一さんの残した著書や資料をしっかりと吸収した上で、その教えを現代版にアレンジしながら伝える努力もなさっています。本書にも随所に渋沢栄一のエピソードが登場しますし、本記事後半で紹介しますが渋澤健さん自身が渋沢栄一の著作や言葉を解説する本も執筆されています。

 

SDGs、ESG、などの「社会貢献」的なキーワードの意味や背景を知ることができる

本書で学ぶことのできるキーワード

本書を読んでまず最も良かったと感じる点は、最近良く聞くキーワードを改めてまとめて整理し直すことができたことです。SDGsやESGなど一つ一つのキーワードは知っていましたし、ざっくりとは理解しているつもりでしたが、似ていると感じるものも多く、それぞれのキーワードの関係や背景などあまり細かくは整理できていませんでした。といいますか、整理できていないことは分かっていたのですが、一つ一つ調べていくのが面倒くさかったのですが、本書を読むと関連する広汎なキーワードをまとめて理解できてお得です。新書ですので、分量的には一日で読めてしまいます。

本書で意味や背景を理解することのできるキーワードは

  • SDGs
  • ESG
  • ソーシャルレンディング
  • インパクト投資
  • SIB

など。いかがでしょうか。なんとなくは知っているけれど、今さら人には聞きにくい、と感じるものがあればぜひ本書をオススメします。もちろん、ひとつのキーワードも知らないという方にも分かりやすく説明されていますのでご安心を。

渋澤さんはとても分かりやすい言葉遣いで解説を進めてくれますし、印象的だったのは例えが分かりやすいということです。
例えば、まだまだ日本では馴染みが薄い「投資」自体について、投資にお金を使うとはどういうことかという説明を「プロ野球とファンの関係」に例えて説明しています。

少し引用してみます。

プロ野球の試合を見にスタジアムへ行き、好きなチームのグッズを買って、チームを応援すること。それを虚業だという人はいません。好きなチームにお金を投じて、それが元手となりチームが強化されてリーグ優勝してくれたら、とてもうれしいのではないでしょうか?勝利の喜びはプレイヤーだけでなく、応援しているファンも共有しています。投資もじつは、ひいきの野球チームの応援と同じことなのです。投資は、応援の気持ちに根ざした社会参加の一手段です。

 このたとえ、とても良いですよね。分かりやすいだけでなく、「それなら自分もやってみたい」と参加を促すポジティブな力があります。本書では他にも素敵で分かりやすいたとえが多く、読みながらなるほどうまいな、と感心する箇所がたくさんありました。

 

<利益>から<価値>へ 企業の存在意義をアップデートする

SDGsやESG経営が企業からも注目を集めるようになってきている背景を説明する部分では、ノーベル経済学賞受賞者のミルトン・フリードマン博士の言葉を使った説明が分かりやすかったです。

フリードマン博士の最も端的で有名な説は、1970年に『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』に発表されたもので

ビジネスの社会的責任とはその利潤の最大化である

というものです。会社の存在意義とは利益を出すことであり、利益を出すことによって社会に貢献しているというのは、現在広く浸透している捉え方です。「株式会社は利潤の最大化が目的の組織である」というのは現在公民の教科書でも出てくるぐらいに一般知識となっています。

渋澤さんはこの考え方が、間違っているというわけではないが、アップデートが必要だとしてきます。ひたすらに効率性や生産性を高め市場競争で勝ち抜くことで企業価値を高めることができた20世紀から、資源の枯渇や環境問題が世界規模で深刻化する中で、利潤の最大化だけがビジネスの責任とは言えなくなってきているといいます。渋澤さんは次のような言い方をされています。

効率性や生産性の追求で次世代の人々が速い変化にあおられ、貧困や不平等といった格差が国境を超えて問題かした結果、「持続可能な開發目標」と掲げられたSDGsが誕生した、といってもいいくらいです。こうしてビジネスの社会的責任は、利潤を増やすという近視眼的な視点からサステナブルな成長へと移行しつつあります。  

そして、フリードマンの「利潤の最大化」という思想を次のようにアップデートすることを提唱します。

企業の存在意義とは<利益の最大化>ではなく、<価値の最大化>である

こう読み替えることで、単に株主の利益を求めるだけではなく、経営者や従業員、顧客に取引先、そして社会全体など企業をとりまくすべてのステークホルダーにとっての価値に目を向けることが求められるようになっており、この点はSDGsの「誰一人取り残さない」と通じるものだといいます。

なぜ環境や社会を重視するESG経営に投資が集まるのか?

また、ESG投資が伸びていることの背景もなるほど、と納得するポイントでした。ポイントは大きく2つあります。

  1. リスクの低減
  2. ビジネスチャンスの可視化

まず一点目のSDGsは投資家にとってリスクの低減になるというポイントは特になるほど、と感じました。
どういうことかと言うと、

SDGsに前向きに取り組んでいる企業は、事業環境の変化に敏感です。そういった企業を選んで投資すれば、経済的なリターンの持続可能性が高まるということ

これは確かに、と思える点です。環境問題の深刻化や難民・移民問題など世界の社会経済状況は変化しており、この先どうなっていくのかの予測はどんどんと立てにくくなっていますので、そうした変化への対応力を感じ取れる企業を選べる可能性が高くなる、ということですね。

二点目のビジネスチャンスはより分かりやすく、環境配慮などの新しい観点が、新たな技術革新に繋がる可能性があるということです。

投資家としては単に流行ということではなく合理的な思考によってESGやSDGsが注目されていると言えます。

 

コモンズ投信と渋澤さんの考え方について知ることができる

本書を手にしたのは、「SDGs投資」という本書のテーマに関心があったからなのですが、著者の渋澤健さん自身にも興味がありました。結果としては渋澤さんの経歴や想い、特にコモンズ投信について詳しく知ることができたことも本書を読んで良かった点のひとつです。

コモンズ投信株式会社の設立ストーリー

本書では第4章が「コモンズ投信〜楽しくなければ投資じゃない!」となっており、の一章を割いて渋澤さんが設立したコモンズ投信設立までの流れや込めた想いなどが詳しく述べられています。渋澤さんの著作はこれまでにも手にしたことがあるのですが、ご自身やコモンズ投信自体について述べられた本はこれまで読んだことがなかったので、改めて詳しく知ることができて良かったです。

というのも、私は経営コンサルタントとして企業だけでなくNPO等の経営支援や資金調達の支援を行うこともあるのですが、NPOの資金調達(寄付など)の世界ではコモンズ投信や渋澤さんはけっこうな有名人です。本書でも少し触れられていますが、コモンズ投信には毎年NPOなどの社会起業家に対して寄付を行う「コモンズSEEDCap」というプログラムがあり、投資信託収入の約1%を寄付に充てています

社会起業家への支援にもなり、投資家に若手社会起業家の社会課題解決への想いを伝える素晴らしいプログラムなのですが、なぜここまでのことを渋澤さんが続けているのだろう、ということが気になっていたのですが、それはコモンズ投信自体のビジョンともつながっているものでした。

「一人ひとりの未来を信じる力を合わせて、次の時代を拓く」ことがコモンズ投信の存在意義となっています。

社会起業家とは、「今日よりもよい明日」を共創することに務めている精鋭群です。彼らを寄付で応援することが、SDGsの描く、持続的な経済成長の一助となる投資であると考えます。

こうした熱い想いに裏打ちされた語り口を読んでいると、世界的な感染症の流行で今後経済状況が暗い中でも、投資や寄付による自分のできる範囲での社会参加にも意義があると心強く感じます。

コモンズSEEDCapについては詳しくは以下をご覧ください。

www.commons30.jp

やはり渋沢栄一も抜きでは語れない

渋澤さんを語る上ではやはり渋沢栄一も欠かせないのだな、という点も本書を読んで改めて感じた点です。未来を信じて一人ひとりの力を合わせていくSDGs投資の考え方自体が、渋沢栄一の考え方にも通じる部分だということが随所で語られています。

例えば、渋沢栄一は「日本の資本主義の父」と呼ばれていますが、本人は資本主義という言葉は使っていなかったといいいます。代わりに使っていたのは「合本主義」という言葉だそう。
その考え方は以下のようなものです。

「しずくの一滴には力がないけれど、集合させることで、水滴となります。水滴は小さな水流を作り出し、やがて大河になる」
このような考えのもとに個人の小さなお金を集め、国家の経済力の基盤づくりに務めたことが、渋沢の興した銀行の原点になっています。

単に利益を求めるだけではなく、そこに想いや願いがあるという『論語と算盤』についても改めて興味が湧きました。ずっと「読みたいものリスト」に突っ込んだままになっているのですが、来年の大河がはじまる前に読みたいと思います。

 

ミレニアル世代は多数派であるという気づき

本書の後半では、21世紀の注目市場としてアフリカについても触れられているのですが、その中で新鮮な気付きだったことは世界で見ればミレニアル世代は多数派である、ということです。

大体33、4歳以下から20歳代半ばまでの現在若手社会人であるミレニアル世代(私自身もその世代です)は、日本では少数派の世代です。少子高齢化が進んでいる日本の国民年齢の中央値は48.4歳であるのに対して、インドネシアやインド、そしてアフリカなどの新興市場国は年齢が非常に若いことが示されます。

そして、続いて語られる事実に励まされました。

世界全体で見れば、現在の人口の中央値は30.9歳です。日本国内ではミレニアル世代はマイノリティの存在ですが、世界的には圧倒的なマジョリティの世代なのです。この事実を、多くの若者たちに共有して欲しいと思います。

ということです。これは新鮮な驚きでしたし、いかに自分が日本にばかり目が向いてしまっていたかということも反省させられました。ミレニアル世代の皆さん、元気だして行きましょう!

「社会貢献」の主役だったNPOやNGOにはどういう影響があるか?

経営コンサルタントとしてNPOなどの非営利組織に対しての支援もさせていいただく私としては、SDGsやESGなどの社会貢献的な発想が社会の臭流になっていくときに、NPO側がSDGsやそれに伴う企業等の変化をどう考えていけばいいかという点も面白いポイントでした。

企業の存在意義の変化

まず、先にも触れた企業の存在意義が<利潤の最大化>から<価値の最大化>へと変化していくという話では、考えようによってはNPOと企業に違いがなくなっていくということだとも言えます。従来は資本主義というか新自由主義的な発想の中で企業が短期的な利益の最大化を追求する中で、市場の失敗などの歪みが発生し、その市場の仕組みだけではこぼれ落ちてしまう部分をすくい上げる存在としてNPOやNGOが活躍していました。

特に事業型ではなく寄付型で経営するNPOは、資本主義が行き過ぎる中で発生し、市場の力だけでは解決できない社会課題を解決する存在でした。

それが、SDGsやESGの文脈の中で企業も社会に対した配慮を行うことが当たり前となり、企業も改めてビジョンやミッションから社会との関係を捉え直すような動きが活発化してくると、社会課題解決や社会貢献はNPOの特権ではなくなり、当たり前のことになっていきます。そのとき、NPOはどのような存在になっていくのでしょうか。

個人的には、企業もNPOも(あるいは自治体等の政策も)等しく適切に比較される中で、どのような未来を提示するのかが問われるようになっていくのはNPOにとっても悪いことではないと考えます。特に日本においてはNPOの資金調達といえば(事業型でない場合)寄付が一般的ですが、ここに企業の場合と同じように投資的な発想がもっと入ってきても良いと思いますし、大きな財源規模の団体であれば欧米のように一部の財源をNPO自身が投資運用していくとい発想もでてきても良いと考えます。

また、企業との共創という点もこれまで以上に求められていくはずですので、その覚悟をもって経営基盤を強化していくことが多くのNPOにとって急務となるでしょう。

社会的インパクト

企業とNPOが同じ土俵で競争をしていく際に、比較評価されるべきポイントとしては本書後半で触れられていた「社会的インパクト」がひとつのポイントになるのではないかというのは渋澤さんに同感です。どこまで共通の尺度化が進むのかはまだまだ不透明ではありますが、現状日本のNPO業界にはまだまだ社会的インパクト志向が浸透していない状況です。最終的な落とし所がどこになるかは分かりませんが、投資の世界を始めとして指標や評価のルール化が世界的に進行しつつあることに目をつぶったままでは、日本はとても課題解決先進国とななれないです。

社会課題を解決するのは何をもっていえるのか、この問いを今後企業もNPOも行政も、みんなが考えていくことになります。私自身も経営コンサルタントとしてその一助となるべく力をつけていかねばと改めて感じる読書となりました。

 

SDGs投資 資産運用しながら社会貢献 (朝日新書)

SDGs投資 資産運用しながら社会貢献 (朝日新書)

  • 作者:渋澤 健
  • 発売日: 2020/05/13
  • メディア: 新書
 

 

 

渋澤健さんの他の著作

最後に、本書を読んだ方や興味を持った方にオススメの渋澤さんの他の著作についてもご紹介します。

 

『寄付をしてみよう、と思ったら読む本』

寄付をしてみよう、と思ったら読む本

寄付をしてみよう、と思ったら読む本

 

 『SDGs投資』では社会貢献、社会参加的な視点を持った投資について語られるだけでなく、随所で寄付との共通性についても触れられていました。日本人はもっと「お金の使い方」を学ぶべきだという点も指摘されていましたが、まだまだ日本で十分には浸透していないお金の使い方として「寄付」が挙げられます。本書は渋澤さんが日本ファンドレイジング協会の鵜尾さんとともに執筆した本で、寄付の考え方や最近の寄付市場、環境の変化、寄付を有効に活用している団体の事例などが分かりやすく紹介されています。

 

『あらすじ論語と算盤』

あらすじ論語と算盤 (宝島社新書)

あらすじ論語と算盤 (宝島社新書)

  • 発売日: 2019/02/09
  • メディア: 新書
 

 本書を読んで私のように『論語と算盤』に興味を持った方にオススメなのが、こちらの『あらすじ論語と算盤』渋澤さん自身がご自身のご先祖渋沢栄一さんの著作を解説しながら紹介する本です。渋沢栄一が語った56のテーマをそれぞれ400字で簡潔にまとめて紹介するという構成になっており、単位『論語と算盤』の考えを知るということ以上に、現在の日本社会の中でどのように捉えればよいのかという点で非常に分かりやすい本となっています。

 

『渋沢栄一 100の訓言』

渋沢栄一 100の金言 (日経ビジネス人文庫)

渋沢栄一 100の金言 (日経ビジネス人文庫)

  • 作者:渋澤 健
  • 発売日: 2016/01/07
  • メディア: 文庫
 

 渋沢栄一の『論語と算盤』自体よりも渋沢栄一自身についてもっと知りたいという方にはこちらがオススメです。「ビジネス」だけでなく「生き方」など項目別に指針となるような渋沢栄一の言葉が紹介されていて非常に読みやすい構成となっています。本書から座右の銘を得ている人もいるそうですよ。


最後までお読みいただきありがとうございました。