淡青色のゴールド

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街で人と”すれ違う”と本と出会えるアプリ「taknal」レビュー

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街で人と”すれ違う”と本と出会えるアプリ「taknal」レビュー
こんにちは。書評ブログ「淡青色のゴールド」へようこそ。本日の記事では書評ではなく、読書に関連するサービスをご紹介します。人とすれ違うことで本と出会うサービス「taknal」という面白いコンセプトのサービスです。

 

 


「taknal」の概要と使い方

taknal.app

taknalのタグライン(キャッチコピー)は「”人とのすれ違い”を”本との出会い”に変えるアプリ」「本との出会いが、あなたの日常に発見をくれる」です。
Webサイトで紹介されている特徴は3つ。(上記公式サイトからの引用です)

①日常の中で本と出会う

ユーザーとすれ違うたびに、本と出会うことができます。通勤時間や移動時間が、本と出会える時間になります。

②偶然出会った本を読んでみる

普段は手に取らないような本とも、偶然出会うことができます。気になる本、何度もすれ違う本があれば、読んでみましょう。

③読んだ本を記録し、振り返る

読んだ本を記録することができます。時間が経ってから振り返ると、また新たな発見があるかもしれません。

taknalの使い方

使い方は非常に簡単です。iOSのAppStoreかAndroidのGooglePlayよりtaknalのアプリをダウンロードし、ユーザー登録するだけ。ユーザー登録の過程で「位置情報をオンにすること」を求められますので、必ずオン(常に位置情報を許可する)にしましょう。あとは特に何もする必要はありません。日常生活をおくるだけです。人とすれ違うことがあれば、アプリを閉じていても自動的にすれ違った本を記録してくれ、次にアプリを立ち上げたときに「今日は◯冊の本と出会いました!」という形で教えてくれます

タイムラインに並ぶ本を見ながら気になる本があれば「読みたい(「いいね」のようなもの)」をタップしていくと、読みたいに登録した本を別途一覧で見ることができます。

また、自分が好きな本を登録し街ですれ違う誰かにオススメすることもできます。(公式サイトに記載してある特徴③「読んだ本を記録し、振り返る」がこの機能なので、公式の書き方だと読んだ後に記録するという流れです。ただ、サービスに登録したらとりあえず本を登録したくなると思いますので、まずは過去に読んだことのあるお気に入りの本を登録してみるのが良いでしょう)

ということで、使い方は非常にシンプルです。ユーザー登録さえすれば後はとくに能動的には何もしなくとも本と出会える気軽なサービスですし、街ですれ違う誰かのオススメということで普段の自分ではなかなか手に取らないような本やまったく知らなかった本と偶然に出会うことができる楽しさがあります。

なお、「すれ違い」とは書いてありますが、緊急事態宣言下の都道府県も多いことを踏まえてかすれ違う範囲は市町村単位などそれなりに広めに設定してあるようです。私は最近ほぼ完全にリモートワーク化しているのですが自宅にいるだけでも何冊もの本と出会うことができましたのでリアルですれ違わなくとも使えますので、コロナ禍でもその点は安心安全です。

新たな本とどう出会うか?は読書家の大きな関心事

taknalのコンセプトでもある「新たな本との出会い」は読書好きの方にとっては関心を強く持ちやすいテーマですよね。まぁ世の中にはあまりに面白い本が多く、すでにたくさんの「積読」を抱えている読書家の方も多いと思いますので、次に読む本には特段困っていない方も多いとは思います。ただ、だとしても「まだまだ新しい本と出会いたい!」というのが読書家の性。まだ自分の知らない面白い本と出会う可能性があるなら手を出したくなりますよね。

ところで、そもそも読書家が普段新しい本と出会う方法にはどのようなものがあるのか。以前私は読書に関するサービスを分類して紹介する記事を書いたのですが、その中で「新しい本との出会い」という項目も取り上げています。リアルであれば本屋に行って平積みされている本や書店員さんのオススメ(POPなど)で自分の知らなかった本と出会ったり、知人からの紹介というクチコミで新しい本と出会うといのが多かったかと思いますし、最近はAmazonを始めとするECサイトでのレコメンド(「この本を買った方は以下の本にも関心を持っています」)によって次々と新しい出会いを得ている人もいるかと思いますが、Webサービスはその特性を活かしてそれ以外にもさまざまな出会い方を演出してくれます。

以前書いたクチコミで紹介した分類は以下の通りです。

  • キーワードや連想から探す
  • 新刊情報をチェックする
  • 書評から探す
  • 選書サービス
  • AIを利用する
  • ちょっと変わった出会い方をしてみたい

taknalはこの分類に当てはめるなら「ちょっと変わった出会い方をしてみたい」ですね。なにしろ生活をしている「だけ」で良く、自分からは何もする必要がないある意味非常に楽な出会い方です。

(各分類でのサービスが気になる方はぜひ以下の記事をお読みください)

 

daisuket-book.hatenablog.com

 

日常生活を送る「だけ」で出会えるという”究極に楽な”出会い方

上に書いた通り新しい本と出会うためには新刊情報をチェックしたり、各種の検索サービスを利用するなど一定の”能動性”が求められることが多いです。といいますか、「出会いたいのであれば何かしら行動をする」というのはある意味当たり前の話なのです。これは”偶然”による出会いを演出するこれまでのサービスでもそうでした。例えば”選書”。誰かに本を選んでもらうということで、自分だけでは出会えなかったような本に偶然出会うことができるという点ではtaknalと共通していますが、それでも選書サービスでは選書人の方に選んでもらう前提としてこれまで読んできた本や普段手にする本の傾向などを事前に伝えるという一定の能動的なやりとりが発生します。

一方でtaknalはそうした一切の能動性が排除された究極の受動的な出会いを提唱します。何しろ何もしなくて良いのです。本に出会う過程においてはアプリを立ち上げる必要すらありません。ただ時間が過ぎるままに日常生活をおくるだけで良いのです。

もちろん自分の読書歴などのフィードバックがなく、街ですれ違う誰かのオススメという一点突破の出会い方なので、実際に出会う本の中にはすでに自分が知っている本や好みでない本が出てくる可能性はあります。ただ、数週間使ってみた印象では「わりと知らなかった本とも出会えるな」という印象があります。

それぞれのユーザーがオススメしたい本を手動で登録する(手間といえば手間な)過程があるため「特にオススメしたい本」というフィルターがかけられているのが良いのかもしれません。

ということで、新しい本との新感覚な出会い方を演出してくれるサービスです。普段とは違った傾向の本も手にしてみたい!という方にはオススメです。

taknalの良い点

ここからはアプリ、Webサービスとしてのtaknalに対してのレビューです。単なる読書好きではなく、元々はWeb系の事業会社でWebディレクターをしていたというWebサービス好きな人間としての側面も持っているので、taknalというサービスがさらに良くなることを、そして良い読書関連Webサービスが増えてくれることを願って細かい点も含めて使っていて気になったポイントを良い点も悪い点もお伝えしていきます。

まずは良い点から。

使い方がとても簡単

良い点のひとつ目は「使い方が簡単」という点。できることがシンプルに絞られているということもありますが、細かく大げさなチュートリアル画面が表示されることもなく、なんとなく触っていれば使い方が分かります。というかそれ程やることないですからね。でも、これはけっこう大事なポイントで、読書管理アプリなどはできることが多すぎて「まず何から始めればいいのかな」と迷ってしまったり、機能を覚えるのにけっこう時間がかかったり、あるいは使ったことない機能がたくさんある状態が続いたり、といったことが頻繁に起こります。その点taknalは非常にシンプルで、とりあえず登録したら、自分のオススメの本を登録して、プロフィールも編集できそうだからしてみて、、、そこまでやったらとりあえずやることがなくなります。あとはすれ違って本との出会いを待つだけ。新しい本と出会ったときも、気にいる本があれば「ハート」を押せばいいんだなということはなんとなくわかるので、特に迷うことはありません。ユーザーに挫折させずに理解させるというのはとても大切なことですね。

100文字で紹介というシンプルさ

良い点の二つ目もシンプルさに関わることです。自分が誰かにオススメしたい本を登録することができ、紹介文を書く必要があるのですが、その紹介文は「100文字以内」で書く必要があります。長く紹介文を書くのってけっこう大変ですからね。短くまとめるのも要点をまとめなくてはいけなくて本当は難しいのですが、100文字であればもはや短すぎて要点という程でもありません。何しろ「つぶやく」と言われるTwitterですら140文字です。しかもアプリ上で求められるのは要約ではなく「感想を100文字以内でいうと?」です。一言感想であればハードル低く書けそうですよね。
思い切ってここまで紹介文を短くしたからこそ紹介したい本がたくさんある人は何冊も登録してみよう、と思えるでしょうし、たくさんの本が登録されれば本との出会いが広がる可能性もありサービス全体が盛り上がります。
ちなみにプロフィールでは写真・ニックネーム・自己紹介文の3つが登録できますが、自己紹介文は更に短く24文字以内です。潔い削ぎ落とし感が気持ち良いです。

taknalの今後に期待したい点

ここからは今後の改善に期待したい点です。開発されている皆さまに届けば良いなということで細かい点まで書きます。

「すれ違い」というコンセプトと実際の感覚のズレ

本サービスのコンセプトが「すれ違い」による本との出会いなのですが、実際にはすれ違わなくても本との出会いができています。位置情報を活用してすれ違いを活用するサービスはこれまでにもいくつもありました。例えばPokemonGoなどのゲームではお店や施設、モニュメントなどリアルのランドマークの地図情報が反映されていて、実際にそこに近づく必要がありました(コロナ禍の中で少し変わっている部分もありますが)。これは実際にそこに近づかないといけないというハードルでもあり、煩わしさでもあるのですが、それを乗り越えて成果を手にするからこそ達成感があるのです。新しいポケモンと出会ったり、アイテムを手に入れたり。
一方でtaknalはすでに書きましたが、位置情報を使っているとはいっても市町村単位(東京だと区単位なのかな)に入れば「すれ違った」とみなされるというかなり広い設定がしてあります。自宅にいながら何もせずに新しい本と出会える、という点では良い点でもありますが、あまりに受動的すぎて達成感という点では薄いのが少しもったいないと感じる点です。
すれ違いの範囲を狭めるとユーザー数の少ないエリアでは使いにくかったり(PokemonGoでも地方ではアイテムが手に入れらるスポットがなかったり人と出会えないのでゲームとしてほぼ遊べないということが言われていましたね)、緊急事態宣言下で自粛生活している人が多い中では自宅にいながらすれ違えるという点はメリットとも言えるかもしれませんし、バランスの難しいところかと思いますが、もう少しユーザーの達成感ややる気をくすぐる工夫があると利用が長続きしてコミュニティとして盛り上がりやすいのかなと思うところです。

充電消費が激しい

続いて「充電消費が激しい」。これは結構痛いポイントで、「位置情報を常に取得」することが求められるため常に電力を消費しっぱなしです。相当に消費が激しいです。上記の「すれ違う」感覚とも合わせると、Blutooth通信に切り替えていくとかユーザー側で選択性にするとかできると良いなと思いました。

NintendoDSで「すれちがい通信」というのがありましたが、あれはBlutooth通信でした。けっこう近づかないといけないので、それこそ地方ではすれ違えないという悩みは出てしまいますが、実際私は当時自宅周辺ではあまりすれ違えなかったので、休日にすれ違い通信のために東京まで遠征にいくということもしていました。大変ではありましたが、だからこそすれ違えたときの達成感はありましたし、何より電源自体は入れている状態でのスリープモードでの持ち運びでしたが、消費電力はそれほどでもなく一日でけっこうな量のすれ違いを楽しむことができていました。
スマーフォトンアプリということで、より充電消費には敏感にならざるを得ませんので、このあたりは改善を期待したいところです。というか、現状は自宅での勤務中心でいつでも充電できるから良いのですが、いざ東京へ出かける日は残念ながらtaknalへの位置情報許可は取り消してアプリを落とさないといけないという本末転倒なことになってしまっています。

押せそうで押せないハート

続いてはUI関連です。新しい本と出会えると「タイムライン」に本が並び、それを眺めていくことになります。本の画像と「ハート(いいね)」「バツ(本を削除)」が表示されていて、気に入る本があればハートを押せば良いのだな、という点は分かりやすいです。ここまでは良いです。ただ、そこでハートを押す人はなかなかいないはずです。本の画像が表示されていれば、まずそちらをタップします。事前に自分で本の「登録」作業をしている人であれば本の「100文字感想」があることも分かっていますので、それを見たくなるのが自然な気持ちです。

本の画像をタップすると、本の詳細ページが開き本の概要(小説でいう裏表紙のあらすじ)と紹介者の100文字感想を見ることができます。100文字感想の右上にはハートマークと数字が並んでいます。数字はその感想に対して「ハートが押された回数」だというのは直感で分かります。で、それを読んで良いな感じたら自分もハートマークを押したくなるのですが、残念ながらこのハートマークは押すことができません。単にいいね数が表示されているだけです。

ハートマークをタップするためには一度タイムラインに戻る必要があります。まぁハートを押したらその後はまたタイムライン上で別の本を探し続けるのだから結局はタイムラインに戻るし同じことではあるのですが、「押せそうで押せない」という体験自体が結構なストレスです。(数日前までは本の画像近くにもハートマークデザインが書いてあり、そちらも押せそうで押せませんでした。今は消えているのでおそらく似たようなフィードバックがあったのでしょうね)

ちなみに、100文字感想を書いたユーザー名をタップすることでそのユーザーの自己紹介文を確認することができます。そこまで押せそう感は出していないユーザー名は押したら反応があるので、なおさら押せそうで押せないハートとのギャップが際立ってしまっている状況です。

「削除」は必要か?

タイムライン上では前述の通り出会った本に対して「ハート」を押すか、「削除」をするかというアクションができるのですが、この「削除」行動はいらないのではないかなと思います。もちろん好みでない本はあるとは思うのですが、そもそも偶然街ですれ違うだれかの紹介する本との出会いなので期待の仕方としては「良い本と出会えたらラッキー!」ぐらいな感覚です。すでに知っている本や好みでない本と出会う可能性はむしろこの出会い方なら当たり前なのです。「削除」したところで好みを溜めて今後のレコメンドに活かすとかそういうことでもないのですから、ここまで削除を大きく分かりやすくする必要はありません。どちらかというと気に入って本の「ハート」をより押しやすく目立たせ、押したくなるようにした方が良いと感じます。どうしても削除を残すとしてもUI上で明示せず左スワイプなどのアクションだけで取り入れるのでも良いかもしれません。

「いいね」を押されても気づきにくい

私もこれまでに3冊ほど本を登録してオススメをしています。ありがたいことに紹介した感想文にいくつかのハートを押していただいているのですが、特に通知などは(アプリを起動した際にも)なく、マイページを見に行って始めて分かります。本の登録数はこのサービス上はけっこう重要なポイントだと思われます。本の登録という行動を促すためには、「本を登録したら良いことがある」とユーザーに感じてもらうことが必要だと思うのですが、あまりアプリを触っていてそのような感覚(ハートを押されて嬉しい!という感情)はなく、ハートは押されたけど、特に何の演出も達成感もないので、「追加の本を登録しよう」とはあまり思えていない状態です。演出などを少し工夫するだけでも改善されそうな気がします。

100文字紹介入力フォーム

続いてオススメの本を登録するときのフォームです。すでに書いた通り100文字以内でしか書けないという点自体は私はとても良いことだと思っています。ただ、100文字ってけっこう短いのです。書いているとすぐにオーバーしてしまいます。このときフォーム自体に100文字までしか入力できないという厳密なフォームなのですが、これを少し緩めてほしいです。例えばTwitterなどだと140文字以内でしか投稿はできませんが、投稿作成画面の段階では200文字でも300文字でも書くことができます。いったん書ききってからどこを削除しようか、どうやって短くしようかと考えることができます。投稿ボタン自体は140文字以内にならないとタップできないようになっていますし、オーバーしている文字数分にはハイライトがつくなど分かりやすい表示になっています。taknalの感想入力フォームもこの形式を採用してほしいですね。特に100文字という非常に短い感想を求めているので「書きながら文字数オーバーしてしまう」ことは多いはずで、同じようにストレスを感じている人はいるのではないかなと思います。


ということで、すごく細かい指摘までしてしまいましたが、個人的にとても期待しているサービスということで!
本の出会い方としてはとてもおもしろいと思いますので、ぜひ多くの人に使ってみてほしいです。